こんにちは、廣本です👨🏫。会社に入社して以降、SaaSツールを中心にさまざまなツールを触ってきたのですが、その中で「人から教わってないことを人に教えられること」って、すごく大事だなと思いました。
今回はそんなお話を。
※本記事は2020年頃を振り返って執筆したものです。そのため、あえて当時のツール呼称を使用しています。
初めてのLooker
私は新卒入社2年目から業務でBIツールの構築を担当することになったのですが、当時はTableauやGoogle Data Portal(現在のLooker Studio)をよく使っていました。これらのツールはいわゆるセルフBIと呼ばれるもので、コーディングの知識がなくとも直感的に使いやすいという特徴があるツールです。使い始めた当初は、ツール自体の使い方というよりもテーブルやレコードの考え方を理解するのに苦労しましたが、それでも1~2年経つと徐々に慣れていき、自由に使いこなせるようになりました。
そんなある日。業務で「Lookerでもダッシュボードをつくってほしい。構築期限は●月中に」というお題をもらいました。
言われたときは、「これまでに使ったことないし、周りで触ったことがある人もいないのに、なんで構築期限だけ先に決まってるの?」と内心思いました。ただ、TableauやData Portalを使いこなせている自負はあったので、同じBIツールならなんとかなるだろうと楽観視をしていました。
ところが
いざLookerの画面を見てみると、何やら他のBIツールとは様子が異なっていたのです。
ダッシュボードの作成画面は英語表記が多く、何やら設定項目がたくさんあるし、LookMLという画面では難しそうなコードが並んでいました。
ダッシュボードの作成画面

LookMLの画面

Lookerは開発者がLookMLという機能を用いてデータの定義やモデリングを行い、その定義に基づいてGUIベースでダッシュボード画面を作成するという特徴があります。そのため、データガバナンスを担う開発者と、ダッシュボード画面を作成するビジネスユーザー、のように役割を明確に分けて運用することが得意なツールです。
LookMLの紹介 | Looker | Google Cloud
そのため、当時GUIベースの操作がメインのセルフBIしか使ったことがなかった私は、その考え方や操作方法の違いに戸惑いました。
とはいえ、刻々と構築期限はせまってきます。
言い訳をしても仕方がないなと思い、先入観を捨て、まずはLookerのサンプル画面をじっくり確認することにしました。
Looker画面の観察
ダッシュボード画面
まずは比較的とっつきやすそうなダッシュボードの開発画面を観察しました。
TableauやData Portalでは、グラフの種類と、ディメンションとメジャー(指標)を設定することで、グラフを作成できます。
ディメンションは数値を分割する区分、メジャー(指標)は集計した数値を意味します。
Tableauの画面
※列内の青色で定義されているのがディメンション、行内の緑色で定義されているのがメジャー

Data Portal(現Looker Studio)の画面

細かい設定方法はもちろんツールによって異なりますが、「グラフの種類を選ぶ」「ディメンションとメジャー(指標)を設定する」ということ自体はどのツールであっても根本的には変わりません。
そのため、まずはLookerで「グラフの種類を選ぶ」「ディメンションとメジャー(指標)を設定する」方法を見つけることにしました。
「グラフの種類を選ぶ」方法はすぐ見つかりました。アイコンが上部に並んでおり、これをクリックすることで任意のグラフに切り替えることができます。

そして次に「ディメンションとメジャー(指標)を設定する」方法を探しました。左側のAll Fieldsの中をよく見てみると、英語表記ですが「DIMENSIONS」と「MEASURES」と書かれているところを発見しました。Tableauと同じく、ディメンションとメジャーで色分けもされています。

この「グラフの種類を選ぶ」「ディメンションとメジャー(指標)を設定する」方法を見つけてからは、比較的容易にダッシュボード画面の作成を行うことができるようになりました。細かい設定方法の違いは、都度画面上で探したり、情報を調べたりする必要はありましたが、それでも根本的なグラフ作成のところでつまずくことはなくなり、無事グラフを作成できるようになりました。
LookML画面
そして次にLookML画面を観察してみました。
見慣れた「dimension」や「measure」ごとにデータ項目の定義がされているのは確認できたのですが、TableauやData Portalでは「メジャー(指標)」として扱われる”売上”や”利益”が「dimension」として定義されていることに違和感を覚えました。
そこで、もう少し全体を見てみると、似たような”総売上”や”粗利益”という項目が「measure」として定義されていることを発見しました。何が違うのだろうと思い、さらによく観察してみると、「dimension」のtypeが”number”になっているのに対し、”総売上”のtypeは”sum”となっていることに気が付きました。そしてそれに気づいた瞬間、腑に落ちたことをよく覚えています。

なるほど、Lookerの「measure」は数値の項目ではなく、集計を定義するものだったのか。
そのポイントに気づいてからは、LookMLで定義する方法や意味の理解が一気に進みました。TableauやData Portalの意味合いとはやや異なるものでしたが、集計の概念自体はどのBIツールにも共通しています。また、その他の設定項目もLookMLの形式で書かれてはいるものの、表示形式を設定したり、計算を行ったりできるのは、どのツールも同じでした。
Tableauの画面

Data Portal(現Looker Studio)の画面

TableauやData Portalの「メジャー(指標)」という言葉にとらわれず改めてLookerの中の世界に向き合ったこと、そしてTableauやData Portalとの本質的な共通点を見出したことが、この気付きにつながったと思います。
具体→抽象→具体のサイクル
初めて使うLookerでしたが、以下の手順でLookerの理解を深め、結果的に無事構築を完了することができました。
①Lookerの画面を観察する
②TableauやData Portalとの共通点を見つける
③Lookerを理解する
個々のツールの特徴を理解するだけではなく、共通点を見つけ抽象的に理解しておくことで、未知の具体的な事象にも柔軟に対応することができます。

非効率から生まれる効率化
現代はインターネット上に無数の情報が集まっています。特に最近では、生成AIを使えば、自分で情報を検索しなくともAIがやさしく丁寧に疑問に答えてくれるようになりました。時間をかけて情報を調べたり、自分でいろいろ試してみたり、うまくいかずに頭を悩ましたりすることも少なくなり、効率的に「正解」を見つけられるようになってきています。私が初めてのLookerで苦労したことも、今では一瞬で解決できるかもしれません。
しかし、個々の「正解」を見つけてそれで終わり、としてしまうと、抽象的な理解にはつながりにくくなってしまいます。
時間をかけてしっかり観察し、自分の中で腑に落ちるまで考えつくす。そんな非効率的な行動が、深い理解と応用力につながり、真の効率化が生まれるのかもしれません。
最後に
誰かに教わったわけではなかったLookerですが、他の人に教えることができるほど理解を深めることができました。現在ではオリジナルで作成したLooker研修がチーム内にも浸透し、私以外にもLookerを使える人がどんどん増えていきました。
抽象的な理解ができていれば、人に教わっていないことでも人に教えられることができるんだなというのを、このLookerの経験を通じて実感することができました。
効率化が求められる現代ではありますが、泥臭く・地道に理解することを忘れないようにしたいなと思いました。