
こんにちは、南郷です。
今回は、Hakuhodo DY ONEが提供するDMP「AudienceOne®」と「KARTE Blocks」を組み合わせた施策事例を紹介します。
AudienceOne®は、月間4.8億UB(ユニークブラウザ)のオンライン行動データをもとに、プライバシー保護に配慮した形で、デモグラフィックや興味関心にもとづく精度の高いセグメントを構築することが可能です。
従来、主に広告配信のターゲティングに活用されてきましたが、今回は「ECサイト上でのコンテンツ出し分け」という CX(顧客体験)向上のための新たな活用方法に挑戦しました。
AudienceOne®の活用により、サイト内データだけでは把握が難しいユーザーに対しても、属性に合わせた最適なコンテンツを提示し、購入率(CVR)の向上が図れるかを検証しました。その結果について詳しく解説します。
※本記事はWONDERで公開した記事「AudienceOne®×KARTE Blocksで実現する、初訪ユーザーへの「クチコミ」パーソナライズ施策 ~30代以上の男性向けコスメブランド「myberyl」の事例から学ぶ~」に具体的な設定方法の要素を加筆した詳細Verになります。
- 課題:サイト内データだけでは不十分な「初回訪問・匿名ユーザー」への接客
- 施策概要:メンズコスメブランド「myberyl」での検証
- 「AudienceOne®」と「KARTE Blocks」の設定内容と設定方法
- 施策結果: CVRに明確な改善傾向
- 検証から得られた3つの学び
- まとめ
課題:サイト内データだけでは不十分な「初回訪問・匿名ユーザー」への接客
「KARTE Blocks」は、訪問者の行動に合わせてサイトコンテンツを素早く更新・テストできる強力なソリューションです。一方で、自社サイト内の行動データが中心となるため、初回訪問ユーザーや匿名ユーザーに対しては「どのような属性の人か」を把握しづらく、結果としてサイト内でのWeb接客が画一的になりがちという課題がありました。
そこで、AudienceOne®が保有するサイト横断のオーディエンスデータを掛け合わせることで、初回訪問ユーザーに対しても「その人の属性に合ったコンテンツ」を提示し、自分ごと化を促すことで購入率を高められるかを検証しました。
施策概要:メンズコスメブランド「myberyl」での検証
今回の施策は、TSUKURI DESIGNが運営する、30代以上の男性をターゲットとしたコスメブランド「myberyl(マイベリル)」の公式サイトで実施しました。同ブランドでは、大人の肌質・肌色・肌悩みに合わせて開発したBBクリームとCCクリームを販売しています。初回はトライアルキットの申し込み、その後に本商品購入へつなげる2ステップ設計を採用しています。

BBクリーム・CCクリームの商品詳細ページおよびトライアルキットページに、KARTE Blocksで「利用者の声」のカルーセルバナーを追加し、さらにAudienceOne®のセグメントを用いてユーザーごとにクチコミ表示をパーソナライズしました。
- 対象商品: BBクリーム、CCクリーム、トライアルキット
- 検証内容: 商品詳細ページおよびトライアルキットページに「利用者の声」のカルーセルバナーを設置。AudienceOne®の属性・興味関心データをもとに、ユーザーのライフスタイルに合わせた3つのセグメントごとに、表示するクチコミ内容をパーソナライズ。
- 検証期間: 2025年12月4日〜2026年1月6日
- 評価指標: カート投入率、購買率
ユーザーのライフスタイルや関心ごとによってインサイトが異なるため、同じ商品であっても刺さる口コミが変わるのではないか、という仮説を検証しました。
「AudienceOne®」と「KARTE Blocks」の設定内容と設定方法
本施策を実現するための設定は、大きく分けて以下の3ステップです。
Step1:AudienceOne®属性データのKARTEへの連携
AudienceOne®の属性データの連携に必要なことは、サイトへのタグの埋め込みです。
AudienceOne®で取得している興味関心やデモグラフィックを暗号化した情報をKARTEに送ることができるマッピングタグをサイトへ埋め込み、KARTE側へ「AONE_SEGMENT」というイベントが送信されるように設定すれば、連携は完了です。

Step2:AudienceOne®データを用いたKARTEでのセグメント作成
AudienceOne®では、ユーザーに対して属性と興味関心を定義できます。 今回はmyberylのターゲット層とAudienceOne®で取得できる属性データ/興味関心データをもとに、KARTE上で3つのセグメントを作成しました。
セグメントの元となるのは、取得した「AONE_SEGMENT」イベントです。
イベントのフィールド値の、「DEMOGRAPHIC」に属性、「PSYCHOGRAPHIC」に興味関心の値が入るため、以下のように設計しました。

実際の設定画面は下記になります。
異なるフィールド値を1つのセグメント内のOR条件に指定できないため、DEMOGRAPHIC、PSYCHOGRAPHICそれぞれでセグメントを作成しました。


Step3:KARTE Blocksでの出し分け設定
それぞれのセグメントのユーザー像に合った利用者の声を、KARTE Blocksでカルーセルバナーとして作成し掲載します。
テンプレートは、KARTE Blocksの「利用者の声」を使用しました。

以下4種類の施策を3つの配信ページ(BBクリームの商品詳細ページ、CCクリームの商品詳細ページ、トライアルキットページ)ごとに作成し、配信します。
各セグメントに属したユーザー向けに、セグメントに合わせた内容がファーストビューとして表示される施策(#1~3)と、 どのセグメントにも該当しなかったユーザー向けにサラリーマン・お父さん・女性それぞれの声がランダムでファーストビューに表示される施策(#4)を同時に配信することで、AudienceOne®のセグメントを活用することによる効果計測を実施しました。

作成した利用者の声は以下の通りです。

施策結果: CVRに明確な改善傾向
施策の結果として、いくつかの組み合わせで明確な改善が見られました。
トライアルキットおよびBBクリームにおいて、一定の配信母数が確保できたケースでは、ランダム表示よりも「AudienceOne®セグメント設定あり」のパターンのほうが、カート投入率・購入率成果ともに上昇する傾向が確認されました。
※CCクリームは施策が表示されたユーザー数が十分でなく、今回の成果判断からは除外しています。
トライアルキット

BBクリーム

この結果から、「誰に向けたクチコミか」を直感的に伝えることが、最終的なコンバージョンを後押しする有効なアプローチであることが示されました。
検証から得られた3つの学び
今回の施策を通して、以下の学びが得られました。
母数の確保が成功の前提条件
セグメント条件を絞りすぎると、対象ユーザーが減り、配信数(バナー表示回数)も少なくなります。今回の検証では、母数が少ない場合、数値の振れ幅が大きくなり、施策の有効性を客観的に判断しづらくなるという課題も見えてきました。今後は性別・年代・居住地・趣味嗜好など、リーチの広い属性を組み合わせることで、母数を維持しながら効果を最大化する設計が重要です。
「誰に向けたか」の明示がCVRを動かす
「サラリーマンにはサラリーマンのクチコミを」というような、「自分と同じ悩みを持つ人の声だ」と認識してもらうシンプルな出し分けが、ケースによってはCVRに二桁ポイントの差を生み出しました。コンテンツの中身そのものだけでなく、「これは自分のための情報だ」と感じてもらうコンテキスト(文脈)の力が、数字として表れた結果と言えます。
広告以外でのAudienceOne®活用の可能性
自社DMPのデータを、広告配信の枠を超えてサイト内のコンテンツ制御に直接活用できたことは、Hakuhodo DY ONEならではの強みだと感じています。AudienceOne®は、集客だけでなく、 その後のLPOやCX改善においても強力な武器になり得るという手応えを得ることができました。
まとめ
AudienceOne® × KARTE Blocksの連携により、自社DMPデータを活用した「サイト内パーソナライズ」に活かす可能性を実証できました。
「適切な人に、適切な声を届ける」というマーケティングの基本をサイト上で実現することは、着実な成果につながります。「誰に向けたものか」を明確に伝えるだけでCVRに差が出ること、そしてその効果を得るためには母数設計が不可欠であること——この2点が今回の最大の学びです。
「KARTEを活用しているが、パーソナライズの切り口やデータが不足している」「DMPデータをサイト改善に活かしたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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